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【精神医療】うつ病【一橋綾人/にじさんじ】

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概要

監修
筑波大学精神神経科講師 松崎朝樹先生

以下、原稿です。

皆さんこんにちは、一橋綾人です。
今回は、精神疾患についての解説動画として、うつ病を解説していきたいと思います。

①うつ病について
まずはうつ病はこんな病気、と言っていきたいところですが、断片的な伝え方になってしまうため一つずつ解説していきたいと思います。
内容としては、診断(どのような時にうつ病と診断されるのか)、疫学(人口や性別などの割合はどうか)、治療(どのような治療が行われるか)、うつ病に関係した疾患、そして近くの人がうつ病になった時どのようにすればよいか、についてそれぞれ解説していきます。


②うつ病の診断
うつ病を診断する際、DSMという共通した診断基準をもとに行われます。その中には抑うつエピソードとして主要な症状がまとめられています。
抑うつエピソードを構成するのは9つの症状です。
1.抑うつ気分
これはいわゆる「憂鬱さ」であり気分がずーんと沈み悲しい気持ちになる状態のことです。うつ病と聞くとこういった状態を思い浮かべることが多いかもしれません。
2.興味・関心・喜びの喪失
これは趣味や娯楽などもともと楽しめていたものが楽しめなくなることです。楽しいはずのものに触れても、楽しく感じられない状態になります。
3.体重・食欲の変化
食欲が減退し、食べる量が減少し体重が低下します。逆に食欲が急に増し体重が増加する場合もあります。
4.睡眠の変化
睡眠の問題は頻度が高く「寝付けない」「途中で目が覚めて、寝られなくなる」「朝早く目が覚めてしまう」などや「寝ても寝た感じがしない」というものが多いです。体重や食欲同様に逆にいつもより寝すぎてしまうという状態もあります。
5.焦燥、抑制
こちらは非常に焦る気持ちが強まりそわそわと落ち着かない状態になること、もしくは反対に極端に動きが遅くなり動けなくなってしまう状態になるというものです。
6.疲労感
こちらも典型的で、極端に疲れやすく気力がわかない状態です。
7.無価値観・自責感
自己評価が極端に下がり「自分には価値がない」という考えが浮かんだり「皆に申し訳ない」という考えになります。
8.思考力・集中力の減退
「うまく考えがまとまらない」「何かに集中できない」「物事を決断できない」という状態です。
9.死についての反復思考、自殺念慮
無価値観や苦痛、そして焦燥などから死んでしまいたいという思いが浮かぶことがあります。また、死について考え続けてしまうような状態もあります。

これらのうち、1と2の症状どちらかもしくは両方を満たしつつ、9つ中5つ以上の症状が2週間以上の間ほとんど毎日存在する場合、抑うつエピソードがあると判断されます。
そして詳しくは後ほど解説しますが、双極症やその他の疾患が除外されたうえで、うつ病と診断がなされます。

③その他の症状
またこうした診断に関わる症状以外にも、うつ病に典型的にみられる特徴や症状があります。
1.日内変動
うつ病の症状は1日の中で波があり、特に朝に気分や調子が最悪な状態になり、夕方以降はだんだん調子がよくなってくる、というようなパターンを示すことが多いです。
2.不安
うつ病の人は不安の症状も合併しやすく、将来のことなど様々な強い不安を感じることがあります。
3.妄想
妄想というのは事実ではないこと、根拠に乏しいことを確信している状態であり、合理的な説明を他人から受けてもそれが訂正できない状態のことをいいます。
うつ病に典型的な妄想もいくつかあり、微小妄想と呼ばれています。
例えば、「自分は取り返しのつかない過ちを犯してしまった」「これから逮捕される、もしくは逮捕されるべきだ」などの訴えが出る『罪業妄想』、「自分は癌でありもう治らない」「何かとんでもない病気にかかっているに違いない」という考えが浮かぶ『心気妄想』、「家にお金が無くなってしまったのでもうおしまいだ」「借金があって限界になってしまった」といった『貧困妄想』があります。
重要なのはこれらは事実と異なることにも関わらず本人が確信しており、説得によって訂正することが不可能であることです。

④疫学
それでは次にうつ病の疫学的な情報を見てみましょう。
疫学とは特定の人口の中での割合などの情報になります。
まず、日本におけるうつ病の生涯有病率ですが、6%とかなり高い割合になっています。
続いて発症する頻度の高い年齢ですが、欧米の調査では平均の発症年齢は20代の半ばごろとなっていますが、日本では若年者と中高年者でも頻度が高くなっています。
そして性別による差としては、発症率は女性は男性の約2倍となっている一方で、自殺率は男性が女性の5~10倍という調査があります。

⑤治療
続いて、うつ病に対してどのような治療が行われるかを解説していきます。
まずうつ病の治療の大原則は「十分な休養」になります。
しっかりと休める環境を作り、ストレスのもととなるところから離れ、改善が不十分であればさらなる治療が必要となります。
特に治療初期の段階では、ものごとを楽しむことができず気力も減退しているため、無理に気晴らしなどをせずとにかくしっかりと睡眠と食事を取り休むことが重要です。

治療の種類としては、睡眠を補助するため睡眠導入剤を処方したり、抗うつ薬による治療を行ったり、また抗うつ薬のみで改善されない場合、そのほかの薬剤を組み合わせる増強療法や、rECT、修正型電気けいれん療法など様々な治療方法があります。
抗うつ薬には様々なタイプがありますが、基本的には飲み始めてから2週間~1か月経つと効き始めることが特徴です。最初は胃腸症状などの副作用が出ることがあり、治療の中断の原因となることがありますが、医師と相談のうえで薬剤治療を継続していくことが重要です。通常、胃腸症状は1~2週間ほどで改善することが多いです。

⑥治療期間
うつ病は未治療のままですと、およそ8割の人は回復が得られないとする研究もあります。

治療を行った場合、多くは2~3カ月ほどで抑うつ症状の改善が得られます。その後、再発を防ぐために継続治療として薬物療法を続けながら、認知行動療法などを用いてうつ病の中での否定的な考え方やものの見方に対するアプローチも行っていきます。
重要なのは再発を防ぐことで、抑うつ症状が改善した状態であっても最低でも1年は抗うつ薬での治療を続けていくことが重要です。

⑦類似した病態
さて、それではここでうつ病と同様の症状を呈することがある疾患を簡単に紹介していきます。各疾患の詳しい説明はまたそれぞれの動画で扱っていきたいと思います。

1.双極症(双極性障害)
世間的には躁鬱病という名称で伝わることの多い疾患ですが、うつ病の診断においてはこの双極症を除外することが重要です。

抑うつエピソードがある方でも、過去に躁状態、軽躁状態があった方は双極症と診断されます。持続する高揚状態、話が止まらずなんでもできる感覚、寝なくても元気な状態などが4日間~1週間以上持続したことがあることなど、躁の状態となったことがこれまでにあった場合、うつ病ではなく双極症と診断されます。躁状態、軽躁状態などに関する詳しい説明は双極症の際にご説明いたします。

双極症を除外する大きな理由としては、その病態が異なるということもありますが、双極症とうつ病では行われる薬物療法が大きく異なるためです。双極症であった場合、抗うつ薬での治療が無効であったり、逆に症状を悪化させることがあります。

2.適応反応症(適応障害)
うつ病と似た疾患として、適応反応症・適応障害があります。適応反応症でもうつ病と同様に、抑うつ症状を呈します。憂鬱感や、涙もろさ、集中力や意欲の低下などがみられますが、うつ病の抑うつエピソードを満たすほど重度でないことが特徴です。

また適応反応症では離婚や失業などの明確なストレスがあり、そのストレスに触れてからおよそ3カ月以内に症状が始まり、逆にそのストレスから離れた場合6か月以内に症状が収まることが特徴となります。

3.身体疾患
抑うつ状態は、様々な身体疾患によって起きることもあります。代表的なものとしては、甲状腺機能低下症というものがあり、首にあるホルモンの分泌を行う甲状腺という臓器の機能が低下することで、うつ症状が出ることがあります。

このためうつ病が疑われる患者さんには採血をして、甲状腺の機能が正常かを調べることが多いです。

⑧周囲の人の対応
さて、ということでうつ病について整理してきましたが、もし自分の近くの方がうつ病になった際、どのように接してよいのかという悩みがあるかと思います。

⑨頑張っては禁句?
よく言われることとして、うつ病は励ましてはいけない、頑張っては禁句という表現が使われることがあります。若干一人歩きしてしまっている感はありますが、まずはなぜそう言われるのかを考えていきましょう。
1.頑張ってと言われても頑張ることはできない
まずはうつ状態にあっては意欲の減退が激しく、頑張るということが難しい状態です。その状態にある方ができること、すべきことは、とにかく休むことです。
2.自責感に繋がる
励ましに対して応じられなかったり、すぐに元気になれないという状況が続くと、本人がその期待に答えられないことで申し訳なさを感じてしまうことがあります。症状にもあったように自責感はうつ病の主要な症状なので、それを助長してしまいます。

ということで、励ましは禁句と言われても本人に対して「じゃあどうすればよいのだろう」となるかもしれませんが、大原則は十分な休息ですので、ずっとベッドで休み続けていて心配だ、連れ出そう、とはならずに、食事や清潔が保たれていれば後は見守る、という姿勢で寄り添うのが重要です。

⑩重大な決断は避ける
もう一つ重要なこととしては、重大な決断を避けるということです。うつ病の時には悲観的な捉え方や不安が強く、物事の悪い側面を過剰に捉えてしまう傾向があります。「迷惑をかけているから会社を辞めたい、離婚したい」などの訴えが出ることがありますが、まずはしっかり休んで、それから考えるということが重要になります。

⑪本人の気持ちに巻き込まれない
近くの方がうつ病になった場合、本人の自虐的な発言に巻き込まれないことが重要です。「自分は迷惑をかけている」「自分なんていないほうがいい」というような発言があったとき、「そんなことはない!」「なんてことを言うんだ!」と本人と衝突してしまうことがあります。うつ病の症状によるその考えは強固で、正面から否定することは有効でないことが多いです。まずは「そういう風にあなたは感じているんだね」と言うことで相手の気持ちを受け止め、「私はそうは思わない」と自分を主語にして答えることが重要です。

ということで今回は、うつ病の症状や治療、接し方などを解説しました。かなりの情報量だったかもしれませんが、重要な情報はお伝え出来たかと思います。十分な休息が一番と分かっていても、それでも焦ってしまったり悲観的になってしまうのがうつ病の特徴です。まずは疾患についてよく理解したうえで、治療に臨んでいきましょう!

参考文献
こころの健康がみえる 第1版
医療情報科学研究所  メディックメディア 2024/10/25

【X(旧Twitter)】
https://twitter.com/Aya10_1tsubashi

【動画について】
精神医療・睡眠についての発信を目的とした配信については、【精神医療】【睡眠】がタイトルに含まれます。
また内容に誤った情報、不適切な情報が含まれていた際には動画を削除し訂正する可能性があります。
ご承知おきの上、コメントやリアクションなどをお願いいたします。

※未成年の視聴者の方々は、下記リンク先の注意事項もご覧ください。
https://www.anycolor.co.jp/notice-for-minors

公開後の推移

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